Studio vetix

第四回「レコーディングに向けた練習してるかな?」

名古屋の音楽リハーサルスタジオ「Studio VETIX」の河本です。

このコラムも気づけばもう4回目!すっかり秋めいてきましたね。
今夏は、おかげさまで多くのレコーディングやPA業務に直接携わらせていただいて、
あっという間に夏が終わってしまった気分です。^^
秋は、年末のリリースに向けてレコーディングをすすめるといったバンドさんも増える時期!
第4回目のテーマは、そんなみなさんにピッタリなこちらです!

第4回【レコーディングに向けた練習してるかな?】

レコーディングに際して、いままで多くのバンドさんとお話をしてきました。
しかし、どのバンドもレコーディングにあたって「クリック練習の時間を増やしただけ」であったり、
「録音する曲を繰り返し丁寧にやる」だけだったり、練習がいまいち効果的でないことが多かったのです。

そこで今回は、「レコーディング前に効果的な練習方法」を、伝授したいと思います!
レコーディングを控えたバンドさんは、ぜひお試しを!
効率良く効果的に成長して「最高の音源」を作って下さいね!^^

【レコーディング時の流れを意識する】

今回説明する全ての根本となる部分です。
レコーディングに向けて練習をする際には、「レコーディング時の流れを意識」しましょう。

レコーディング経験の少ない方には難しいかもしれませんが、実際のレコーディング時の流れをイメージすると、必然的に練習方法も見えてくるものです。

【同じ環境で練習する】

レコーディングは、特に意図的なものがない限り、音の反射が少ない「デッド(音の反射が少ない)」な部屋で行われることが多いです。
これは、録音したい音のほかに、「壁にあたって跳ね返ってきた余分な音」までマイクに入ってしまうのを極力少なくするためです。

「デッド」な部屋での演奏は、慣れないうちは、普段の練習スタジオ練習の時のよりも下手になった感覚になります。
なので、レコーディング前には必ず「デッド」な部屋で練習をしておきましょう。

また、「レコーディングスタジオ」といっても、レコーディング稼働のない日もあります。
そんな日は通常の貸しスタジオとして部屋を貸し出している場合が多いです(ベティックスもそうです)。
そういったレコーディング時と同じ部屋が使えるのであれば、大チャンス!
必ずそこで、練習しておきましょう!

同じ部屋で練習して感覚を掴んでおくと、本番も惑うこと無くプレイすることができます。^^

【ドラム&ベースは一緒に?レコーディング方法は?】

レコーディングの方法は様々です。
レコーディングに向けた練習では、先ほどの「環境」でも触れたように、実際のレコーディング手順を把握して、事前に同じ方法で練習をしておくことが大事です。

例えば、初めてのレコーディングの方は、「ドラム&ベース同時Rec」or「ドラム&ベース&ギター同時Rec」などをするかどうかは事前にエンジニアの方やメンバーと決めておくといいでしょう。
・ドラムだけで録音して、クリックに合わせて演奏する。(構成の把握、ノリのつかみなど、かなり事前練習が必要です)
・ドラム&ベース(ライン撮り)をクリックに合わせて同時に演奏。(曲の構成も間違えにくく、事前にパート練習をしておく事でノリも出しやすい方法です)
・ドラム(クリックを聞きながら)&ベース&ギター同時に一緒に演奏する(いつもの感覚でノリも出るしキメも箇所もキメやすいが一人が間違えると最初から撮り直しになります)
などなど、録る手順ひとつとっても、結構違うものです。

ちなみに、よくお勧めしているのはドラム&ベースを同時に演奏して録音する方法です。
・レコーディング時間の短縮ができる
・ドラムのオーケーテイクが出やすい(目印となるベースが入ることで)
・事前に、しっかりパート練習をしていればノリも出る
・2人でやることで「RECトップバッター」の緊張も少なくなる
※レコーディングは基本的にリズム隊から録音します。その後、ウワモノ楽器(ギター/鍵盤など)→ボーカル→コーラスと、録音して行きます。楽曲の土台から作り上げていくわけです。
…などなど、利点も多く、使われることが多いです。

この方法でレコーディングする場合、必ず事前に、ドラムとベース2人でノリを意識した練習をしておく…といったように、実際のレコーディング手順を把握して、そこに向けた事前練習をしていきましょう。

【短く、少なく、かっこ良く!】

レコーディングにおいて「短い時間、少ないテイク数で良いテイクを録る」のが鉄則です。
どんなに上手いプレイヤーでも、長時間同じフレーズを録り直していればバテてしまいます。
そうなってしまったら、気持ちのいいテイクなど録れませんよね。
いかに「短い時間、少ないテイク数で良いテイクを録る」か、そのための練習がキモとなってくるのです。

…それでは、「時間のかかってしまう部分」を失くすには、どうしたらいいのでしょうか?

【苦手なフレーズを中心に!】

一発勝負のライブと違い、レコーディングにおいては「パンチイン」という手法が使われます。
「パンチイン」とは、採用したテイクの気に入らない一部分だけを修正録音する手法です。

こうすることで、ミステイクが一部にあった場合でも、全部を録り直さなくて済み、効率よく素晴らしいテイクだけを残して録っていけるのですが…。
実はレコーディングで最も時間がかかる部分はここ「パンチイン」だったりします。
特にギターソロ、ボーカル!!
当然といえば当然ですがパンチインをする箇所は「失敗してしまうところ」「苦手な所」です。
なので、何度もテイクを重ねてしまいがちで、だんだん集中力もなくなり、疲れて、思ったような音源にならず、時間がきて、なんとなくで、妥協せざるを得ない…、なんてことがよくあるのです。実にもったいない!

そこでレコーディング前にはこの「苦手な部分」を重点的に練習して無くしてくるのが重要となるのです。
もちろん、ただ「重点的に」やるだけでなく、レコーディングに向けたコツがあります!

それは…、クリックに合わせて「1~2小節単位」で繰り返し練習することです。

【パンチインと仲良くなろう!】

ここではギターのパンチインを例にお話しましょう。
いつもLIVEなどにおいて間違えやすかったり省略している部分は、レコーディングにおいてパンチインのお世話になる確率が高いポイントです。

そのような苦手箇所は「Aメロ全部」なんて単位ではなく「フレーズ単位」である場合がほとんどですよね?

パンチインは、どんな短い箇所でも修正することができますので、そこだけをプレイしなおして何テイクか重ねられればそれが良いのですが、「Aメロ全部やらないと、そこのノリがわからない」なんていうプレイヤーさんが多いです。

もちろん、通して録ればそれが一番です!!
しかし、実際は先述のようにどんどん疲弊して、苦手なフレーズやメロディー以外の部分までミステイクを重ねたり…。
となってしまう事のほうが多いのです。

そこで、苦手な箇所を「パンチインの練習」のつもりで、「1小節だけ」で繰り返しなんども練習しておくと、そのフレーズ以外でパンチインをする際にも、応用が効いて感覚がつかみやすいです。

レコーディング前にはぜひ、苦手なフレーズで「クリックに合わせて『1~2小節単位』で繰り返し練習」しておくことをおすすめします。
これはまさに、「レコーディングに向けた練習方法」ですね。^^

ちなみに、ギター以外にも、もちろんパンチインは有効です。とくにボーカル!
ボーカルパンチインについては次回触れる予定ですので、お楽しみに!

【クリックの使い方!】

レコーディングへ向けた練習全体を通して、クリックは必要不可欠なものです。
本番では、基本的にクリックを聞きながら、録音していきます。
練習の際も、常に鳴らして練習するようにしましょう。
なお、クリック練習時の注意点は、本コラムの第一回で詳しく触れています。
意識を持った音量バランスや音響の部屋で練習をしていって下さいね!

・・・いかがでしたでしょうか?
最後まで読んでくれてありがとうございます^^

長くなってしまいましたね。今回は一旦、ここまでにしておきましょう!^^
伝えたい事がいっぱいありすぎて困ってしまいます!(笑)

ライブに向けた練習で、ライブ時の動きやパフォーマンスをリハーサルするように、レコーディング前にはレコーディングに向けた動きや準備をしていくことが大切なのです。

また、ベティックスでレコーディングの際は、必ず事前にミーティングをさせて頂いております。当日の環境を見てもらったりエンジニアが質問にお答えしたりアドバイスをさせて頂いくことで少しでも緊張を少なくいつも以上の演奏が出来るようにしています^^
一度当店でレコーディングを経験していただくのもバンドの成長に役立てると思いますので、ご利用下さい。

このコラムでは、次回もまた、レコーディングについて触れたいと思います。お楽しみに!
また次回お会いしましょう!!