名古屋の音楽リハーサルスタジオ「Studio VETIX」の河本です。
長年のリハーサルスタジオ運営/レコーデング運営/レーベル・プロダクション運営/アーティスト育成の経歴から得た知識や経験を基に、「効果的な練習方法」や、「スタジオの上手な使い方」から、「バンド運営上の疑問」まで、役立つ情報をたくさんお伝えしていくこのコラム!「Vetix河本のこんな練習してないかな!?」
第2回目のテーマは、【効率よい練習へ向けて、時間配分してるかな?】です。
楽しい楽しいスタジオリハ!皆さん、いつも笑顔で、ベティックスに来店してくれるのですが…。とあるお客さんが暗い顔をしている。プロ志向で、毎週練習に来てくれているお客さんなので、思わず「どうしたの?」と、聞いてみると、こんな悩みを相談されました。「最近、練習がだらけてしまって、バンドが前に進んでる実感が無いんです」。
お話を聞いてみると、みんなで集まって、なんとなく持ち曲やって、曲作りして、なんとなくライブみたいに通し練習して、なんとなく終わる。・・・最近はそんなスタジオ練習の繰り返しなんだとか。これでは、確かに、練習がだらけてしまうのも仕方ありません。
みんなでたまに集まって楽しく!というバンドであれば、スロウペースで練習しても素晴らしい時間の過ごし方といえるのですが、このお客さんのようにいわゆる「プロ志向」のバンドにとって、「なんとなく」でスタジオを過ごしてしまうのは、時間の浪費、メンバー間の軋轢、バンドの停滞と、マイナス要素にしかならないものです。
みんなの嫌いな(?)「お仕事」や「お勉強」と一緒である程度練習にメリハリを持たせるためには、「事前に時間配分をイメージしておく」ことが重要なのです。
ここで、ある「練習がうまいなぁ」と思ったバンドの練習パターンをご紹介しましょう。
何故そのような時間配分なのか、簡単に説明もいれておきますので、参考にしてみてください。^^
☆3時間練習の場合
①スタジオ時間の30分前には集合する
→雑談しつつ、今日の練習内容を決める。
→それより前に着いてウォームアップしておくのも良い(個人/パート練習)。
②スタジオ入り-10分 セッティング
→各自機材セッティングをする。
→セッティングが終わった人から音を止めるというルールを設定する。
→ルールが有ることでセッティングが終わってもずっと「自主練」を続けて時間が無駄に経過してしまうパターンに陥りにくくなる。
→素早いステージ転換の練習のつもりで行っても良い。
③10-30分 音合せ・コピー曲演奏
→はじめの20分は、みんなで課題曲を決めて、コピー曲をやる。
→コピー曲をやることで、テクニックの向上・弱点の克服をフラットな観点から進められる。
→この際、各楽器の音のバランスを見る。「ギター下げて!」などの調節も、ここで行う。
④30-130分 通常練習
→通常練習時に使える効果的な練習方法は、第1回掲載の「クリック練習」を始め、当コラムにて随時紹介していきます。参考にしてみてください^^
⑤130-160分 本日の仕上げとして録音
→練習全てを録音する必要はないが、その日の「まとめ」は必ず録音すること。
→クリックを鳴らして演奏したものを録音すると客観的に判断しやすくオススメ。
→演奏の際は「目標としている大きなステージ」イメージして、「おおきな演奏」を心がけると伸びやかになものが録れる。「置きに行った演奏」を録音しても、聴き返した際ネガティブな意見しか出てこない。
⑥160-175分 片付け
→転換練習のつもりでやると、片付けもスピーディに!
→次のお客さんも使うため、5分前退室を心がける!
⑦終了後
→⑤で録音した音源を、代表者がみんなにメールで送信する。
→送信された音源を聴いて、気づいたこと、改善方法を「2日後までに」など、期限を決め、メンバー共有メッセージで送る。
→この際、それぞれで録音したものを聴くのではなく、みんなで同じ音源を聞く。そうすることで、音源の違いによる「意見の食い違い」を防げる。
→今回見つかった改善点は、次回までに練習してくる。など、約束をする。メールで話し合えることは、次回までに話し合っておくと、スタジオ利用時にしっかりと練習に時間を割くことができる。
・・・いかがでしょうか?
「もうやってるよ!」って人も、「これはこっそり取り入れてみよう」ってひともいるかもしれません。もちろん、人それぞれに合ったやりかたがあるので、「この例に従わなければ不正解!」というわけではありません。
しかし、「やるべきことがわかっているかどうか」は、物事を効率的・効果的に進める上でとても重要なことです。
とくに、スタジオに入る前の「ミーティング」と、スタジオ終了後の「復習の共有」。これはとりわけ重要で、「だらだら4~5時間音を出しっぱなしにする」よりも、「しっかりミーティングをして、3時間だけスタジオに入る」つもりで練習するほうが効果的なのです。スタジオ関係者としては「だらだら」でも、長時間入ってもらったほうが売上になるので、オトクな長時間パックを使いながらスタジオ内でミーティングをしてもらいたいものですけどね(笑)
「最近練習がうまく進まない」なんてお悩みのバンドマンの方は、これらの例を参考に、ぜひメリハリ有る効率的な練習を目指してみてくださいね!^^