みなさんはじめまして!
名古屋の音楽リハーサルスタジオ「Studio VETIX」の河本です。
sixdogの蟹江店長からご指名いただきまして、これから12回にわたって、コラムを書かせていただくことになりました。よろしくお願いいたします!
ライブハウス発信のコラムということで…。
ここでは、バンドをやっているかたへ向けた記事を書いていこうと思います。
長年のリハーサルスタジオ運営/レコーデング運営/レーベル・プロダクション運営/アーティスト育成の経歴から得た知識や経験を基に、「効果的な練習方法」や、「スタジオの上手な使い方」から、「バンド運営上の疑問」まで、役立つ情報をたくさんお伝えしていければと思っています。
バンドマンのみなさんには、このコラムをうまーく利用して、ご自身のバンドのステップアップにつなげて頂ければ嬉しいです!
そんなわけで、第一回のテーマですが・・・
第一回のテーマは「クリック練習」です!
【クリック(メトロノーム)】=音楽の速度をはかる器械。
ドラマーにの方々にとっては、自宅で行う基礎練習においても相棒と言えるツールですよね!
リハーサルスタジオにおいても、バンド全体のアンサンブル練習の際には定番のアイテム。
スタジオ店頭にて、部屋からうっすら漏れだす「ピッピッピッ・・・」という大音量の電子音は日常的な光景であります。
そのように、「クリック練習」はバンドマンにとって非常に身近なツールを使った練習方法なのですが、スタジオ店頭に立っていて話を聞くと、「正しく効果的に」使っているバンドさんは驚くほど少ないな、という印象を受けました。
みなさん。クリックを「テンポキープするためだけ」に使っていませんか?
ここが大きな勘違い。
実は、クリック練習は曲をテンポに合わせてプレイする練習方法ではありません。
曲の中で、バンドの「点」を意識するために、行う練習なのです。
最近聞いたみんなの練習方法はこんなかんじなのですが…。
・バンド全員で聞こえるように、クリックはできるだけ大音量で鳴らしてます!
・鏡付きの部屋でクリック練習中もフォームをしっかり確認してます!
・いつでもどこでもスタジオでも!便利なクリックアプリを使用してます!
どうでしょう?
あなたのバンドも当てはまることはありませんか?
でも、実はコレ、それぞれあまり効果的ではないNGな練習方法なんですね。
なにがどう効果的では無いかというと…。
→バンド全員で聞こえるように、クリックはできるだけ大音量で鳴らしてます!
☆大音量でクリックを鳴らすのはNGです!
小さすぎて聞こえないのはもちろんアウトですが、実は大きすぎるのもNG!
クリックの最適ボリュームは「バンド全員の音が重なったら聞こえないけど、ずれたら聞こえる程度」のボリューム。
そうすることで、本当に演奏の「点」が合わさっているかがわかります。
「とにかくでっかく!みんながずっと聞こえる音量」での練習は、「点が合ってても外れててもわかんない練習」にほかなりません。
「合わせたい点でクリックの音が聞こえないようになったら正解」なのです。
→鏡付きの部屋でクリック練習中もフォームをしっかり確認してます!
☆「鏡付きの部屋」とクリックの音は相性最悪!
知ってましたか?クリックの音は「鏡」と相性最悪なのです。
なぜなら、鏡は高音を反響させやすく、結果として音をぼやけさせてしまうからです。
クリック音は御存知の通り中~高音。クリック練習を鏡張りの部屋で行うことは「ぼやけた点」に合わせているだけの精度の低い練習にほかならないのです。
やってそうで意外とみんなやっていないのが「練習の目的に合わせてスタジオを選ぶ。」行為。クリック練習をする際は、できるだけデッド(音が吸音)なサウンドを鳴らせる部屋を選んで利用することがポイントとなります。
値段とか、見た目の豪華さだけで部屋を選んでヒーローになった気でいませんか?
ヒーローになるのはステージの上だけで充分です。
→いつでもどこでも!クリックアプリを使用してます!
☆最近では、多機能で安価な「クリックを鳴らせるアプリ」が数多くリリースされています。
これは、日常ちょっとした練習時には手軽で便利なので大いに活用するべきですが、スタジオ内でのバンド練習となると話は変わってきます。
安価クリックアプリの中には、スタジオ練習で使うにしては音がぼやけていたり、他の楽器と「音被り」をしてしまい聞き取りづらい音色のものが多数あります。
また、元々スマホから出力しているため、出力音量が小さいものも多々有ります。
そんな小さい音をミキサーなどでボリュームアップして使うわけですが、無理矢理に大きくしすぎると歪んでしまい、これまた「点」がわかりにくくなり、精度の低い練習に陥る原因となります。つまり、スタジオ練習にはクリックアプリは余り向いていないのです…。
いかがでしょうか?
上手なクリック練習とは「クリックに合わせる」ことではなくて、「クリックを使って全員の位置を把握すること」なのです。
本来クリック練習は「テンポキープ」ではなく、「基準のテンポ」を鳴らし、そこを意識して「前ノリ」「後ノリ」を把握するよう演奏する練習なんです。
なのでクリックを鳴らすときは、なるべく「点」がわかるように鳴らすのが上達のコツです。
正しい練習をして、練習の成果が上がればバンドがもっと楽しくなる!
みなさんも、「正しいクリック練習」試してみてくださいね!